医療はサービス業か?

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  今年(平成20年)の3月20日に「のりゆきのトーク・デ・北海道」をテレビで見ていたら、「医療はサービス業か」ということが話題になっていたので、このことについて考えてみたい。

  医療はサービス業か、否か。時々、私の間では話題になることがある。

 果たしてどうなのだろうか。

 あらゆることばがそうであるように「サービス業」という言葉にもいろいろなニュアンスを引きずっている。

 いやな言い方をすれば、医療はサービス業であるのだから、とにかくお客様、というか「患者様」にへりくだり、何でも言うことを聞いて上げる、そのようなイメージを持っている方もいらっしゃるのではないだろうか。

 また、イメージ的には私はセブンイレブンのようなコンビニを想起してしまう。24時間365日、お客(患者)がいつ来られても対応する。それがサービス業なのか。サービス業というのはそのようなことなのか.

 「コンビニも24時間いつでもやっている。病院もそうでなくてはならない」という市民の声も聞かれる。

 しかし、コンビニは24時間できるように、人をきちんと配置している。朝から働いている人を、夜もそのまま働かせるようなことはしていない。そんなことは、不可能だし、労働基準法もある。9時間以上連続して働かせるようなことは禁じられている。

 また、コンビニはもちろんお金を支払っている。夜は時給を高く設定して従業員を募集している。これは当たり前である。常識である。

 今の救急をやっている地域の基幹病院の勤務医のように、24時間連続勤務、36時間連続勤務、などというのはあり得ない。医療という業種上、患者の容態が思わしくなく、そのくらい連続勤務をすることが致し方なく生ずるのであれば、それもありであるが、それが常態化しているのであればナンセンスであろう。

 病院側があくまでも、コンビニエンスストアのようなサービスを目指すというのであれば、瞬間的に人の手当、つまり、医師数、看護婦の数を2倍から3倍にしなければならないし、そうでない状態で働く必要もないのではないか。

 今までこのA企画でこのような問題を提起し、解決策として、時間が手当の支給や救急体制の縮小など、病院側がやるべきこと、また、そうやれば人手不足をある程度緩和できるのではないかと思い提言して来たが、状態はさっぱり緩和しない。

 これからは、勤務医一人一人が対応して行くしかないのではないか、と思うようになって来た。つまり、病院では救急医療をするとかいっているけど、私は労働基準法に準拠して勤務をさせていただきます、というしかない。そして救急外来には関与しない、ということを病院側に通達して行く必要があるのではないだろうか。

 時代は病院や行政が何とかしてくれる,という時代ではもはやなくなった様に思える.彼らは何もしない.医師個人が,力強く自分の身と生活を守るために対応していかなくてはならない.そのような時代になった.

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 いや、話が多少ずれてしまった。

 「医療はサービス業か?」と言われたら、私ならこう答えたい。サービス業という言葉が適切かどうかは分からないが、患者さんと同じ目線にたち、病気の治療に当たることはやぶさかではない。しかし、それは24時間いつでもどこでもということではないし、それをするのなら、今の2−3倍の医師や看護婦が必要だし、そのための人件費はざっと見積もって今の3−4倍必要である。

 今、問題になっているのは、まさにそこである。

 きちんと決められた時間内であれば我々は働けるし、患者と同じ目線に立ち、対応できるが、あくまでも時間内でですよ。という風にお答えしたい。

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