カネさえ出せば医者は来るのか?
 
【新聞より】尾鷲市で産婦人科医消滅の危機

 尾鷲市の伊藤允久市長は三十一日の会見で、尾鷲総合病院に迎えた産婦人科医師との交渉決裂の原因が報酬額の折り合いではなく、医師の高額報酬への攻撃、中傷が原因との見解を示した。五嶋博道病院長も「報酬の条件もあるが、気持ちが切れた方が大きい」と認めている。

 伊藤市長によると、七月中旬から八月中旬までの二年目の更新交渉で、「最長で来年三月 まで残る、と医師から言われていた」といい、同市長が八月二十一日、市議会に交渉経過を説明し、 二十五日に再度開いた市議会委員会で交わされた、 一部市議(浜口市議)の「三千万円出せば 大学病院の助教授が飛んでくるのに、四千八百万円は高過ぎる」「津で開業したころの うわさもいろいろ聞こえてくるのに」などの意見を知った医師が「残る気持ちをなくした」という。

 伊藤市長はこれまで「医師は非常に責任感が強く、交渉が不調に終わっても、三カ月は残ってくれる」と繰り返していたが、八月三十日夜の交渉で、医師は市議会での議論を  引き合いに出し「気持ちが続かない。九月中の出産予定者までは引き受ける」と期間短縮を申し出た上「事故があったら大変だから」と語ったという。

 1年前,尾鷲市立病院で,年収5520万円で産婦人科医を招聘した.この記事は,医療関係者だけでなく,国民を驚かせたはずである.しかし,1年で辞職することになった.

 辞職する理由はいろいろあると思う.

まず,新聞の報道によると・・・
  ○あまりに激務で,ほとんど,病院に泊まり込み状態.
  ○ある市会議員が,「3000万円も出せば,助教授が飛んでくる(すぐに勤めてくれる)」と暴言を吐いたことに産婦人科医が衝撃を受け,継続して勤務する気持ちを失った(参考記事:市議会生活文教委議事録 Click).

 どこにでもこのような元気の良い議員さんはいるものである.もちろん,この浜口議員の言うように3000万で立派な産婦人科の先生が飛んできたかと言えばその様なことはなく,産婦人科医の後釜は見つかっていない.

 その他に考えられることは
  ○年収がすごく高いため,病院職員の嫉妬をかってしまった.特に,同僚の医師の嫉妬をかってしまい,非協力的だった人がいたのかもしれない.

 一般の人は医師は非常に強い人間だと思っているのかも知れないが,実はある意味でひどく弱い人種である.

 当たり前のことであるが,医師は市民の支持と,同僚の医師,病院職員の協力があって初めて仕事ができるものである.ただでも今や訴訟されることが多いのに,まわりが非協力的だったり,嫉妬のため変な感情が周りにあることを感じると,足を引っ張られているような感じがして,医療などできない.今や変に訴訟されたりすると,1億円や2億円取られてしまう.

 この産婦人科医は5520万円の年収をもらっていたと言うが,訴訟のことを考えると割の合う話ではないのである.


 おまけに,市会議員の様なえらい人から誹謗されるようなことを言われると,「もうここでは働けないな」とすぐに思うものである.市会議員にその様な批判的なことを言われると言うことは,市民から言われているのと同じ事である.つまり,尾鷲市民の支持がないと言うことといっしょなのである.これはかなりのダメージになる.

 この産婦人科医が「事故があったら大変だから」語った気持ちが私にはよく分かるのである.

 他の尾鷲市民病院に勤務している医師も「次は自分かな」と疑心暗鬼になっているはずである.関係者の話によると,実際に尾鷲市立病院は市議会の干渉がすごいらしい.つまり,ひどく雰囲気の悪い病院のようだ.このような病院はどこにでもあるのだが.辞職したのは,産婦人科医であるが,医局の雰囲気はどうなっているのだろうか.

 ともあれ,産婦人科医を招聘するのにカネを払ってもダメとなるとどうすればよいのか.私は産婦人科獲得のための大胆な作戦を進言したい.(クリック

目次  設立の目的  最近の医療情勢に対する解析(記事一覧)  会社紹介  A企画へのアクセス  掲示板

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

2

3

4

5

6

7

8

9

0

1

inserted by FC2 system